紙生活
和紙

和紙

日本の紙は今のような洋紙になる前は和紙が主流でした。幼い女の子の遊び物は和紙でできた人形でしたし、行燈や障子も和紙でできていました。独特の優しい雰囲気を出す和紙は日本の伝統の良さを今も伝えています。

和紙とは

日本独特の紙漉きという伝統的な方法で作られた紙のことです。紙を白くするために薬品などを一切使うことがありませんので、劣化がしにくく通気性もよく、長きに渡って使いつづけていくことのできる紙です。昔の浮世絵などが和紙に描かれて、現在までも残っているのが良い例でしょう。以前は紙といえば和紙の時代もありましたが、現在ではその生産性が低いために和紙も高級品になってしまいました。和室の障子や襖、屏風などにも和紙が使われ、湿度の調整にもとても優れた紙なのです。

和歴史

紙を作る技術が日本に入ってきたのは、すでに別項で述べた通り西暦610年の頃です。701年には専門に紙を漉くための家屋が今の京都に50戸も建てられました。西暦806年には国営の「紙屋院(しおくいん)」という紙漉所も建てられ、年貢として紙や紙の原料が納められるようになったことからも、紙は大変貴重なものでした。

和紙の原料

和紙の原料となるものを紹介しましょう。

コウゾ(クワ科)

日本で一番使われている和紙の原料です。栽培も簡単で収穫量が多いからです。障子や版画用紙、冊子などに使われています。生活の中で一番多く見る和紙ですね。

ガンピ(ジンチョウゲ科)

奈良時代からコウゾに混ぜて使われていましたが後にガンピだけで和紙が作られるようになりました。栽培が容易ではなく、野生のものを使うために必然的に生産量は少なくなります。すべすべした手触りの和紙ができ、版画用紙や日本画用紙に利用されています。

ミツマタ(ジンチョウゲ科)

主にお札の原料ですが、証券用紙や写経の紙に使われています。コウゾ、ガンピ、ミツマタが和紙の原料に向いているのは、繊維に粘りがあり、繊維同士が絡みやすく、繊維が長く簡単に取り出せるなどの理由が挙げられます。

和紙の作り方

現在では機会で漉かれる和紙が多い中で、手作業で和紙を漉く方法を紹介しましょう。

  1. 刈り取ったコウゾの長さを揃えて3〜4時間蒸し、すぐに水をかけて幹を縮ませます。まだ熱いうちに皮を剥ぎます。
  2. 太陽の光に当ててカビないように確実に干します。
  3. 流水に24時間さらし、乾燥した外皮を取り除きやすくします。普通水のきれいな川で行われます。
  4. ふやけた川をはいで中の皮を出します。取り除いた外側の皮は塵入り和紙に利用されます。
  5. 取り出された内側の皮の繊維を柔らかくするために、ソーダ灰で2〜3時間煮ます。同時に不純物も取り除かれます。
  6. 再び流水に24時間さらしたあと、太陽にあてて干します。これにより繊維が白くなります。
  7. 手作業で選別に入ります。繊維の傷や汚れ、節のあるものを除いていきます。
  8. 繊維が綿のようになるまで樫の木の棒で叩きます。これにより、粗い紙にならないようにします。
  9. 綿のようになった繊維を大きな木の容器に入れます。水とトロロを加えて櫛状の馬鍬で均一になるまで混ぜていきます。
  10. 紙を漉く道具で手前から薄く汲み上げながら紙を漉きます。回数を重ねると厚い紙になります。
  11. 漉き終わったら濡れた紙を紙床に移し、これを繰り返して重ねていって自然に水をきります。
  12. 自然に水を切り終わったら圧搾して残りの水分を絞ります。トロロの粘り気は一昼夜の圧搾でなくなります。
  13. 破けないように慎重に1枚ずつ剥がして、斜めに立てかけたイチョウの板に刷毛で貼り付け、板ごと太陽にあてて乾燥します。これにより白さが増します。
  14. 完全に乾いたら和紙のできあがりです。

美濃和紙

和紙で有名なのは美濃和紙ですね。1300年の歴史を誇る美濃和紙。かつては5000戸を超える和紙製造の家がありました。室町時代には、岐阜県内だけではなく、和紙を求めて全国各地から人が集まりました。

和紙の活用

和紙は襖や障子などの家屋に利用するのはもちろん、趣味でちぎり絵の材料にもなりますし、照明器具の素材にもなります。工夫次第ではどんな材料にも使える和紙はまさに万能な紙といえるでしょう。


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